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本誌に「シューケア特集」があった。
編集部の鋭い指摘がいくつもあり関係者でドキッとしたのは私だけではないでしょう。
例えば、国産品と輸入品の靴クリームの比較。
国産品は表面が鏡のようにピカピカなのに輸入品はドロッと流し込んだまま。
これを”どうでも良いこと””国民性の違い”と評論してあった。

確かにその通り、でもなぜか気になるのが日本人。
業者の立場から言えば、これは実にやっかいな国民性なのである。
国産品の場合、ビン詰めの時の具合かどうか、
時には表面がピカピカでなかったり、キャップの裏ブタに少しばかりクリームがついていたら、それでもう不良品となって返品の対象になってしまうのですから。
輸入品ではピカピカどころか、クリームがビンの中で大きく片寄っているものさえあります。

かく言う私も、数年前に輸入先である英国のクリームメーカーに要望を送りつけたことがあった。
表面仕上げについてはイの一番に書いたものだ。
ところが返事は冷ややかにも「改良するつもりは全く無い。なぜそう(ピカピカ)にせねばならないのか理解できない。」たったこれだけである。
その時は何とやる気のない会社か、と思いましたね。

しかし、冷静に考えてみると先方の言い分は十分に筋が通っている。
表面が美しいかどうか、それが靴クリームの効能とどんな関係があるのかと言うこと。
その主張の裏には、品質に対する絶対の自信がうかがえます。
本質よりも見かけにこだわるのは、日本人の癖なのかもしれませんね。

似たようなことが、靴クリームのカラー展開についても言えます。
メーカー各社が色数を競い合うようにして60〜80色もの色を出している。
果たして、そんなに色がたくさん必要なのでしょうか。
ベージュ、アイボリー、グレー系などの淡い色は見かけほど色は着かない、というよりほとんど着かないと言ってよい(着色クリームは別)。

この無色に近い色まで神経を使って、色数を増やすのは消費者の希望なのか、
メーカーの政策なのかよくわからないけども、これでもまだ足りないからと、色ぞろえに振り回されている結果になっています。
これでは顧客サービスどころか、流通在庫がやたらと増えて、商品回転率は落ちるばかりで、色交換や返品はうなぎ上りとなるのも当然でしょう。
着色性の弱い一般のクリームの場合、靴の色に近い色(薄めの色)で十分なのです。
なのに、微妙な色にこだわり、その差を埋めようとするのは、消費者にも間違った先入観を与えてしまい、
「少しくらい差があっても大丈夫です。」という正当な販売員の正しい説明も成り立たなくなってしまいます。
英国メーカーが、私の要望をいとも簡単にはねつけた職人のようなガンコさと合理性を、見直してもいいように思います。




■シューケア&フットケアのウンチク
第 1話  「靴磨きとシューケア」
第 2話  「皮肉なクリーナーの話」
第 3話   「革靴を洗う」
第 4話  「塩ふき靴の怪」
第 5話  「夢のクリーム」
第 6話  「きゅー靴はイヤ」
第 7話  「バッグの着色クリーム」
第 8話  「売上ストレッチ」
第 9話  「シュートリーの復活」
第10話  「ブリッ子業界」
第11話  「ソフトレザー万歳」
第12話  「シューケアと専門店」



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