終戦直後の混乱の中、浮浪の身となった子供達が、進駐軍などの靴をみがいていた。
当時「東京シューシャインボーイ」という歌がはやり、「オジさんッ、靴みがかせてくれョ!」というセリフがあったことを覚えています。
そして今日の街頭で靴みがきをしているオバさんたち。戦後のイメージで見るせいでしょうか。
なんとなくもの悲しく感じます。
10年ほど前、私も一度だけ経験の為に浅草雷門で靴をみがいてもらったことがある。
靴墨で汚れたオバさんの手は意外と力強く靴を通してその感触が心地よく靴に伝わってくる。
しかし、その数分間は実に長く感じた。ちょうど自分の母親のような年老いたオバさんが背を丸めて靴をみがく姿・・・・・。
”自分は一体何様か!”そう思い始めたら人の目がなんとなく気になり、逃げるように立ち去ったものでした。
もう街頭での靴磨きの新規営業は許可されないとか。そうです、”靴ぐらい自分でみがけ”です。
話が脱線しましたが、「靴みがき」とは文字通り、みがいて光らせること。
ところが、最近ちょっと事情が変わってきて、靴は必ずしも光っていなくてもよくなった。
それどころかダーティなファッションが流行しだしている。
私はイヤな時代になったと思った。
というのも「靴クリームが売れなくなるのでは!?」と心配したからです。
ところがそうでもありませんでした。ダーティ=不潔では無かったからです。
ともかく、この辺から急に「靴みがき」という定義が怪しくなってきた。
もっと広い意味で「靴の手入れ=シューケア」の方がしっくりくる。
単にみがくのではなく、素材の味をいかに引き出し、それをキープしてゆくか、というところに存在意義が出てきたわけです。
しかし、われわれの努力不足もあり靴の手入れ(シューケア)を意外に知らない人が多い。
手入れ用品がファッション雑誌などで紹介されると、とたんに消費者が動き、
関心の高さが証明されるという図式が定着しているのは、ある意味で残念なことであります。
■シューケア&フットケアのウンチク
第 1話 「靴磨きとシューケア」
第 2話 「皮肉なクリーナーの話」
第 3話 「革靴を洗う」
第 4話 「塩ふき靴の怪」
第 5話 「夢のクリーム」
第 6話 「きゅー靴はイヤ」
第 7話 「バッグの着色クリーム」
第 8話 「売上ストレッチ」
第 9話 「シュートリーの復活」
第10話 「ブリッ子業界」
第11話 「ソフトレザー万歳」
第12話 「シューケアと専門店」
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