革の種類と分類

 家畜類 豚・猪 山羊
 エキゾチックレザー類 ワニ類 ヘビ・トカゲ類 鳥類 魚類・両生類 哺乳類


動物の種類による革の分類

家畜類

【牛】

カーフスキン 生後6ヶ月までの仔牛の皮をなめした革。きめが細かく繊細なので牛皮の中でもっとも上質とされる。
靴の甲革、アッパー、バッグ、カバン、ベルト等 に使われる。
キップスキン 生後6ヶ月~2年までの中牛の皮をなめした革。カーフに比べ厚い。カーフよりは劣るが上質な革。
靴の甲革、、バッグ、カバン等 に使われる。
カウ・ハイド 生後およそ2年の牝牛の皮で、厚く丈夫なのが特長。
靴の甲革、バッグ、カバン、ベルト、靴底革(ソール)等。
ステア・ハイド 生後3~6ヶ月に去勢された牡牛が成牛(約20kg以上)になった時の革で最も出回っている素材。
靴の甲革、バッグ、カバン、ベルト、靴底革等。
ブル・ハイド 生後3年以上で去勢されていない牡牛の革。牛革の中では最もキメが粗いが、厚くて丈夫なので主に底革に使われる。 靴の甲革、バッグ、カバン、ベルト、靴底革等。
ハラコ 牛や羊の胎児、あるいは生まれたばかりの仔牛の毛皮で、そのほとんどが食肉用の副産物。
漢字では腹子、英語でUnborn Calfという。
ハイド 一般的に成牛の皮のようにおよそ25ポンド以上ある重厚な皮はハイド(Hide)と呼ばれている。
スキン 仔牛の皮のように小さく、軽く、薄い皮をスキン(Skin)と呼んでいる。

【馬】

コードバン
(コードヴァン)
馬のお尻の部分をなめして染色した皮革。繊維がぎっしりと詰まっているので固く丈夫。
靴の甲革やランドセル、革小物に使われている。靴はオールデン、そのタンナーとしてホーウィン社が有名。

【豚・猪】

ピッグ 豚革のこと。軽量かつ摩擦に強いとされていて耐久性、通気性にも優れている。
表面に3つの毛穴が横並びにあるのが特徴。 靴の甲革やカバン、バッグなどにも使われる。
ペッカリー イノシシ(野ブタ)の仲間で主に南米に生息。きめの細か柔軟性、伸縮性が特徴。
サイフや手袋などに使われることが多い。
チンギャーレ イノシシ革のことで、表面に小さな3つの毛穴がある特徴的な素材感。
カバンやバッグ、サイフなどに使われている。

【羊】

シープ(ヤンピ) 羊革のこと。薄くて柔らかくしなやかさが特徴。ウェアやグローブ、ブーツなどに使用される。
仔羊の皮はラムスキンと呼ばれ、シープよりも繊細。また羊の毛を生かしたものをムートンと呼ぶ。

【山羊】

ゴート ・キッド ヤギ革のことで、皮革の表面の毛穴の形が特徴。子ヤギの皮はキッドスキンと呼ばれていてキメが細かく繊細。 靴の甲革やカバン、バッグなどに使われている、鞄等。

エキゾチックレザー類

【ワニ類】

ワニ革 種類は「クロコダイル」と「アリゲーター」がある。一般的には最上質のクロコダイル(東南アジア産のイリエワニ)やアリゲーター、カイマンなどが有名である。ウロコの模様によって玉符(柔らかめ)と竹符(硬め)がある。
鞄、 バッグ、シューズ、ベルト、時計バンド等の製品に使われる。

【ヘビ・トカゲ類】

パイソン(錦ヘビ)革 美しい斑紋に特色があり、独特の肌ざわりで、野性味あふれる素材として人気がある。
耐久性はそれほどあるわけではないがバッグ、靴甲革、時計バンド等様々な製品に使われる。
リザード・トカゲ革 リザードはトカゲ革の総称。リングマークリザード(ミズオオトカゲ)が最も高級とされ、 バッグ、靴の甲革等に使用される。

【鳥類】

オーストリッチ ダチョウの革で羽を抜いた跡の突起が最大の特徴である高級素材。とても丈夫で、ソフト感がありながら使い込むほどに光沢感が出てくる。 バッグ、靴の甲革、時計バンド等に使用される。

【魚類・両生類】

ガルーシャ・スティングレイ(サメ)の革 近年なめしの技術の向上により実用的になり、革小物や時計のベルトなどに使用されている。
エイの表皮ではなく、表皮の下にある硬い粒状の斑紋の「ウロコ」が使われており、スターマークが特徴。
シャーク 小型のサメの皮革で表面は摩擦に対しての強度はあるが防水効果ほとんどない。
イール うなぎの表面の革を加工したもので、近年、靴やバッグなどに使われるようになった。
うなぎは面積が小さいので一つの製品を作るにはある程度の量が必要である。
カエル革 ヒキガエルなどを革として使用する。面積が少ないため財布等にすることが多い。

【哺乳類】

カンガルー しなやかで、薄いが耐久性があるのでスポーツシューズ等にも適している。
供給はオーストラリアで捕獲が規制されている。
ハラコ 毛皮の状態で製品にする特殊な皮革。お腹の中で死んでしまった牛の胎児や生まれたばかりの仔牛で原皮が小さく数が少ないの高価なものが多い。代用品としてポニーの毛皮などもハラコと呼ばれることがある。
カーピンチョ カピバラの革で南米などに生息するネズミ科の野生動物。 バッグやグローブ等の製品が多い。
革の加工別による分類
銀つき革 スムースや表革の呼称が一般的で、鞣して染色しただけの、銀面(表面)を活かした皮革。 本染め革とも呼ばれる。皮革に柔軟性や通気性があり靴、ブーツに最適な革の一つ。
ガラス革 ガラス張り革とも呼ばれる。皮を鞣した後にガラスの板やホーロー板に張り付けて乾燥させ、銀面(表面)に磨き込み処理を施した後(バフィング)、塗装することで色や表面の風合いを均一に仕上げる。厚く硬い皮を使用することが多く、量産がきくためコスト的には安価。
スエード 革の裏面をサンドペーパーでベルベット状に起毛した皮革。名前の由来はフランス語のスウェーデンで、日本では起毛皮革の総称をスエードという。
ヌバック 革の表面である銀面を起毛させた革。バックスキンより目の細かいペーパーを使うため毛足が短くベルベットのような風合い。NEO(新しい)バックスキンが語源とされる。
ベロア 成牛革の裏面を起毛させた革。スエードよりも毛足が長く、デザート・ブーツやワラビー等に利用される。
バックスキン 鹿の革(BUCK SKIN)の総称。牡鹿の銀面(表面)をビロード状に起毛させたものをさす。日本ではバック=裏の意味からかスエードをこう呼ぶこともある。
揉み革 グレインレザーとも呼ばれる。鞣した後にしわ感を出したソフトな皮革。
型押し革 鞣した後、銀面に様々な模様をプレス機などでつけた革。クロコダイルやリザードなどの型押しなどが多く出回っている。
シュリンクレザー 鞣し工程中に、銀面を縮ませて揉んだ革。
ボーデッドレザー 表面にしわ加工や型押しを行い、細かく線などの模様を入れたて仕上げた革。
モロッコ革 小石を敷きつめた雰囲気の模様の革。山羊革をタンニン鞣したもの。
エナメル革 革や生地の上に合成樹脂(エナメル、ポリウレタン樹脂)を塗装して光沢を出した革。
日本の漆塗りをヒントに考案され、アメリカで特許(パテント)が取られたことからパテントレザーとも呼ばれる。
汚れが付きにくく手入れも簡単だが、熱や寒さに弱く溶けたりひび割れしやすい。オペラ・パンプス等に利用されフォーマルで使用されることも多い。
オイルドレザー 革をなめす際にオイル分を十分に含ませて加工した革。オイルによる防水力があるので水に強く、しっとりとした感触がある。オイル・レザーやオイル・アップ・レザーとも呼ばれる。
バケッタレザー イタリアンオイルドレザーの総称。イタリア古来の鞣し法で仕上げた高級素材。革の繊維内により多くのオイルを含浸させているもので耐久性に優れる。
ヌメ革 タンニン鞣ししただけの革そのものが表面にでている素仕上げ状の皮革。使い込んでいくうちに美しい飴色に変色し風合いが増す。エイジングできる革として人気が高い。
メッシュ革 イントレチャートとも呼ばれる。革を紐状にしたものを編み込んで一枚皮のようにしたもので、通気性が高いので夏場の靴などに使用されるケースが多い。その他バッグ、ベルト等。
セーム革 山羊や羊などの革を油でなめして、仕上げた革。メガネや時計、貴金属を磨くのに利用される。ソフトでしなやかで洗濯もできる。
底革 本底用に鞣した革で牛革をタンニン鞣ししているもの。革靴の底等に使われる。
床革 銀面をそいだ、残り部分を鞣した革。
シルキー 仔牛の革でスエードと同じように作られるが、さらに柔らかく肌触りが良い高級皮革。
アニリンカーフ(加工) 染色方法の種類でなめしとは違う。繊細でデリケートな染色方法で、ものによっては色落ちがしやすい。皮革の肌理が透けて見えるような仕上がりで美しさが引き立つ。
防水加工革 加工方法は様々あるが1.製品ができてからエアスプレー等を使って防水剤を吹きつける方法、表面のみの処理なので防水効果はあまり期待できない。2.製品ができてから防水剤につけ込んで浸透させた後に乾燥させる方法。
3.原皮の状態のときに防水剤を染み込ませる方法で防水効果は一番高い。
一般的な呼称による分類
スムースレザー 一般的によく使われる表面がフラットな革。表革とも呼ばれる。
ブライドルレザー 長い期間にわたり蜜蝋に漬け込んでなめした素材でブライドル(クツワなど馬具の総称)用に英国で開発されたもの。ロウでコーティングされている為、丈夫で使い込むほどに光沢が増す。
サドルレザー 馬の鞍などに使われる厚みがある革の総称。
グラブタンレザー 野球グローブに使用されている革から開発されたことでこの名前がついた。耐久性に優れている。
ボックスカーフ ベビーカーフをクロムなめしを施して、顔料仕上げしたカーフ。柔軟性と伸縮性があり、表面に変化がでにくい。デゥプイ社(フランス)のものが有名。
サフィアーノレザー 牛の型押し革。押し型が複雑で細かいためキズなどにも強い仕上がり。高級ブランドなどのバッグや財布などに採用されている。
鞣(なめし)方による分類
<鞣し(なめし)とは>
動物から剥いだ状態を「皮」と言い、この「皮」に防腐処理をして、革製品の製造ができるようにしたものを「革」と言います。
この皮から革への一連の加工工程を「鞣し(なめし)」と言います。なめした後の皮革は腐食や、乾燥状態になることを防止し、
長期間使用できるようになります。

クロムなめし 硫酸クロム等の合成剤を用いた科学的製法による鞣方法。ソフトな風合いで表面に深い光沢があり、柔軟性、伸縮性に長けている。摩擦等にも強く耐久性、耐水性に優れている。
タンニンなめし 天然の植物の渋をを利用したなめし方法で、より自然な風合いが特長。使い込むほどに皮革がより深い色合いに変化するのでエイジングが楽しめる。
混合(複合)なめし 2種類以上のなめし剤を使用して仕上げる。クロームなめしを施した後、タンニンなめしをした野球のグローブ用で使われるグローブレザー等。クロームなめしとタンニンなめしの特色が生きる素材ができる。
油なめし 皮を鞣す際に動物の油脂でなめす。耐水性に長けていてまた水洗いも可能。セーム革等。
オイルドレザー 皮を鞣す際に動物油を使用してオイル分をたっぷりと含ませて仕上げた革。