この手のご相談が増えるのが梅雨の時期です。
大切な靴が雨でシミになれば誰でもいやな気分になります。
しかし色々と相談しても直し方がわからない・・。
そんな時「それは簡単に直りますよ!」と言われれば、どんなにうれしいことでしょうか。
今回は梅雨の困り事「雨ジミ対処法」についてお話しをしましょう。
はじめになぜ雨ジミはできるのでしょうか?
雨ジミができる原因は部分的に靴が雨に濡れて、"濡れてしまった部分"と"濡れていない部分"が存在して、
そのまま乾かすと(特に薄い色の靴は)"雨に濡れた部分"は色が濃くなり、皮革が硬化します。
それに対して"濡れていない部分"は変化が無いので、
"濡れた部分"と"濡れてない部分"の違い(差)がシミあるいはムラということになり、
これが一般的に「雨ジミ」と呼ばれるものです。
特に紳士靴の場合はコバのインクなどが
雨と一緒に靴のアッパー(ソールより上部全体のこと)に上がってきてシミをよりガンコなものにします。
これが革靴に雨ジミができる原理なのです。
雨ジミができてから「しまった!!」と思った経験は、どなたにもあると思います。
そして雨ジミを取るために市販の靴用クリーナー(中性クリーナー)で擦ってもシミは取れるどころか、
かえって目立ってしまい・・・
それならと同色の靴クリームで隠そうと塗ってみたもののシミは隠れず・・・
本当に大事件(!?)となってしまいます。
"雨ジミは取ることができない"という概念が日本全国にまん延していて
「革靴にとって水は大敵!」の間違った法則を作り出しています。
それでは冒頭の「それは簡単に直りますよ!」はなぜなのでしょうか。
簡単といっても全ての雨ジミが直る訳ではありません。
しかし雨ジミの理屈さえわかっていて、すばやく対処すればほとんど問題ありません。
まず前述した通りシミができる原因は、"濡れて無い部分"と"濡れてしまった部分"のトーンの違いです。
部分的な差がシミを作り出すので、それなら全体を濡らして、
変な言い方ですが全体をシミにしてしまえば、色が濃く、皮革が硬化しても全体的に均一に乾くのでシミにはなりません。
(正確に言えばシミに見えません。)
雨に濡れた靴は良く絞ったタオルなどで、すばやく靴全体を均一に湿らして、陰干しして下さい。
手品の種明かしではありませんが、たったこれだけのことです。
もちろん「靴(革)が固くなりませんか?」と不安になる方もいらっしゃると思いますが、
だからこそ雨で濡れたら「サドルソープ」なのです。
「M.モゥブレィ・サドルソープ」は手を洗う普通の石鹸と違い、皮革の柔軟性を保つための成分を含んでいるので、
通常は乾燥すると硬く仕上がる皮革もしっとりソフトに仕上がります。
そうです雨で濡れた時こそ靴を洗う最大のチャンスなのです。
(注意:雨ジミでも時間が経過しているものについては、
皮革にシミが定着して、直らないものもあります。とにかく早めの対処が重要です。)
また「防水をたっぷりかけていたのに雨で靴にシミが・・・。」というご相談も少なくありません。
もちろん防水力の強弱はメーカーや種類によって異なりますが、
それよりも皮革の乾燥具合で雨ジミのでき方が変わってくるのです。
油分や潤いが無くなって劣化している革靴は水が染み込みやすく、
そんな乾燥状態で防水スプレーをかけても表面的に水が入りやすい状態です。
靴のお手入れがしっかりとしてあれば防水スプレーの効き目も相乗効果でアップしますし、
雨で濡れた時に雨ジミができる確率もグッと下がります。
以前雨ジミの説明をする為、R&Dのスタッフ数名の靴で雨ジミ靴をあえて作ろうとしました。
しかしケアしてある革靴は雨で靴が濡れても、皮革になじんでいる油分や潤いで、
革に染み込んだ雨はすっと広がっていきます。
そのため想像しているほど簡単に雨ジミはできません。
乾燥している靴は濡れた部分に雨(水分)が深く入り込み、広がらずにその部分に残りますので雨ジミができやすいという訳です。
とにかく大切な靴を守るためには防水スプレーだけに頼るのではなく、マメなケアを心がけることがむしろ重要です。
「防水スプレーだけで雨の日は大丈夫です!」的な話をしている方々を否定する訳ではありませんが、
防水力をつけるには"お手入れ(基本ケア)"+"防水スプレー"が雨の日の最強コンビということなのです。
今回のお話で雨の日に革靴を履くことが怖くなくなれば・・いや楽しみになってもらえれば、
R&Dの存在意義もより深まり、我々のモチベーションも上がります。
これを機に今後皆様から「靴の雨ジミ」お悩み相談ではなく、楽しく対処できたご報告をスタッフ一同心待ちにしております。
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