第12話 「シューケアと専門店」

スエードの季節がやってきた。
ウインドウを鮮やかな秋の新色が引き立てています。
そこでスエードのお手入れのポイントを復習してみましょう。
通常の手入れは、ブラッシングだけでOK。
雨の日などは防水スプレーを。これにはホコリ、汚れが付きにくくなるという効果もあります。
注意したいのは、濡れた靴、湿った靴にスプレーしても効果が低いこと。
また、スプレーの後も、完全に乾いてからの方が効果が高いことは知っておきたいもの。
色落ちしたら補色剤を。
スエードの手入れとして一般的に言われるのはこのくらいまでで、要するに「なるべく汚さないようにブラシはマメに」という接客が多いようです。

しかし、意に反して汚れてしまうのが靴。
そんなとき勧めてもらいたいのが当社の「スエードシャンプー」です。
これは泡状クリーナーでスエード、ヌバック、ベロアなど起毛皮革用の洗剤。布製にも使用できます。

<使用法>
?表面のゴミやホコリを取り除き水を含ませたスポンジで表面を軽く湿らせる。
?缶をよく振って、湿ったスポンジや布に泡状クリーナーを取り出し手早くこする。
?スポンジを一旦きれいな水ですすいで固く絞り、汚れた泡をぬぐい取る。
?風通しのよいところで陰干し、乾いたらスエード用ブラシ「スプラッシュブラシ」で毛足を整える。

さて、私のつたないこの連載も今回が最終回。
連載の間、一般雑誌に靴の手入れ法が次々に掲載されたのにはビックリしました。
それほど、シューケア情報が欲しがられている--ということは裏を返せば専門店が情報提供を怠ってきたからでしょう。
本誌にこんなおしゃべりを書くきっかけをつくって下さった某アパレルブティックFは
「靴を扱い始めたとき、何軒かの靴専門店に靴のお手入れ法を伺ったが、満足な回答が得られなかった。これには驚きました。」と語っています。
このF店は、今では顧客対象の販促イベントの中に「シューケア特集」を加えているほどです。

また、青山の某ブティックのT店長はインポートのシューケア用品に貼り付けてある日本語の説明書が不要だという。
日本文が横文字のムードをこわす・・・・・というほかに「これだけ親切に説明文が付いているとボクらのトークが要らなくなる。
ボクらは、この商品についてお客様とおしゃべりしたいんです。」
この店では、そのために扱い商品を全部、自分たちで試してマスターしています。

以上、紹介した2店の話は、シューケアに対して非常に筋を通しているものの、おかしな話ですが靴専門店から見ると逆に”特殊”なケースとなっています。
消費者のため・・・なんて格好いいことは言いません。
お店のために、もう一度、靴専門店の原点に返ってシューケアに注目して欲しいと思います。
下手な連載を長い間、ご愛読いただきありがとうございました。
またなにかの機会でお会いしましょう。

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