偏平足のお話
またどんなイメージですか?
多数のお客様に以前アンケートで質問をしたことがあります。
予想通りではありましたが「偏平足」という言葉そのものは、ほぼ100%の方
がご存知でした。
そして、そのイメージは「運動不足な人」「バランスが悪い人」
「なんか鈍そう・・・」などあまり良いものではありません。
運動する人には無縁のような感じの偏平足ですが、先日テレビ番組の中で、
世界陸上にてアジア初の短距離走メダルを獲得した末續選手の足が超ベタな
偏平足だと紹介されていました。
一般の人が持っている“偏平足”=“運動不足な人”とかなりかけ離れている話
であります。
そこで今回は日本人が皆知っていて、ちょっと誤解も入っている偏平足について
お話をしましょう。
まず、偏平足とはいったいどのような状態を言うので
しょうか?
簡単に言えば、土踏まずがない人のことですが、
日本人は全体的に土踏まずが低く偏平足気味の人が多い
といわれています。
近年は裸足で歩くことが少なくなったり、エレベーター
やエスカレータ、そして交通網の発達とともに運動不足
気味の人も増え偏平足やその予備軍が増加傾向に
あります。
子供にもその傾向が強く、R&Dのスタッフがフットプリンターを使った足型
測定会などで
「うちの子供は偏平足みたいなのですが・・・」
と親御さんからご相談を頂くケースも少なくありません。
子供の土踏まずについて話をしておきますと、産まれたばかりの子供には
土踏まずはありません。
歩き始めてから筋力などの発達と共に次第に土踏まず(アーチ)が形成されて
いき、個人差はありますが、おおよそ小学校に入学するまでに土踏まずが出来て
います。
子供の時期に重要なことは、やはり出来るだけ裸足で歩く機会を増やし、
よく運動させることです。
社会生活の近代化が私たちの生活を快適にしている反面、こんな問題が出てきて
いるのも現実です。
それでは偏平足は足にどんな影響を与えるのでしょうか?
それは土踏まずが果たす役割を考えれば簡単です。
以前「3つのアーチのお話」でも書きましたが、土踏まずは足の裏で弓のように
張りブリッジを作ることで歩行や直立の際のバランスを取り、また衝撃を
緩和するバネのような働きをします。
裏を返せば土踏まずが無い「偏平足」の方はこのバネの効果が得られない為に、
弾むような歩行が出来ません。
例えるならば、足裏全体がお餅のように地面に貼りつくような感じとなり、
そのため疲れやすく運動能力(バランス感覚)も低下します。
「それなら冒頭に書いた陸上のメダリスト末續選手は!?」と思う人も多いと
思いますが、実は偏平足にも本当の偏平足(真性の偏平足)と見せかけだけの
偏平足(疑似的な偏平足)があります。
どういうことかというと、前者は骨格のアーチそのものが落ち込んでいて、
それに付随して土踏まずが無くなっている状態でありますので本当の偏平足
です。
それに対して後者は骨格のアーチそのものはしっかりとブリッジしているのです
が、トレーニング等で土踏まずに筋肉がついてしまっている、または肥満などで
肉がついてしまった人などは見せかけの偏平足と言えます。
末續選手の場合はおそらく長年のハードな練習で筋肉が土踏まずに付き、
見せかけの偏平足になっていると思われます。
すなわち偏平足だからといって皆さんが持っているような「運動不足」や
「バランスが悪い」ということは一概に当てはまらないということがお分かりい
ただけたと思います。
さて、その治療方法ですが、もちろん遺伝などによる先天的偏平足の方もいます
ので、“これで偏平足が直る”と言った絶対的な方法はありません。
それでも
じん帯や筋肉を鍛える。
2.青竹踏みをしたり、靴を履く際は”土踏まずアーチ付きの靴”や
“アーチ付きインソール”を入れて土踏まずを持ち上げて歩行する。
これらの方法で偏平足が改善する人も中にはいます。
また改善するか否かはさて置き、アーチ付きの靴やインソールを入れて歩いて
下さい。健康的に土踏まずがある人と同じような状態を作るだけで、ある程度の
悩みは解消します。
また弾むような機能が出れば疲れも少なくなります。
偏平足は病気ではありませんので、対策は地味な感じではありますが
「とにかく歩く!」
すなわち近代化、利便性との戦いこそが偏平足に対する有効な予防策なのです。