ヌメ革のお話

「ヌメ革の鞄を買ったんだけど、使うと汚れそうで・・・どうすれば良いですかね!?」

先日、そんな質問がお客様よりありました。
実はこのヌメ革製品に関するお問合せは、とても多い質問の一つです。
そこで、今回のシューケア情報は「ヌメ革」についてお話をいたします。
 
まずヌメ革とはどのような革なのでしょうか?

定義的にはタンニン(植物の渋)を使ってなめして、表面に加工を施していない
素(無垢)の牛革や豚革のことです。
表面が無加工ですので、革の素材がもつナチュラルな質感や味わいが長所である反面、
汚れやシミに弱いという短所があります。
製品としてはBREE(ブリー)のヌメ革製品のシリーズや、Louis Vuitton(ルイヴィトン)
・モノグラムの持ち手部分などが代表的で、一般的にはお手入れが難しいと思われています。

そのお手入れ方法ですが、
購入後はすぐに使用しないで1~3週間ほど日焼けさせて表面を丈夫にしてから使うのが
良いとされています。実はこれはとても良い方法です。
箱から出したばかりの新品のヌメ革は赤ちゃんの肌のように真っ白で、とにかく水分や油分などの全てを吸収し、
ちょっとしたことでシミや汚れが付いてしまいます。

したがって新品のヌメ製品にクリーム、クリーナー等を使用すると、必ずと言っていいほど
シミやムラができてしまいます。
しかし、日焼けさせると、ヌメの色が白(生成り)からあめ色に変化して表面が強くなりシミができにくくなります。

また、ヌメ革を日焼けさせている間は、皮革の乾燥が進みますので、定期的に
M.モゥブレィ ナッパケア(ナッパケアはシミになりにくいヌメ革にも安心して使用できる保革剤)
をスプレーして、皮革のコンディションを向上させて下さい。
さらに適度に日焼けした後、ヌメ革製品を使用しながら、M.モゥブレィ・アニリンカーフクリーム
またはM.モゥブレィ クリームエッセンシャルを表面にベールを作る感じで塗り、軽く丁寧に磨きこむと
素晴らしい光沢がでてきます。
ツヤをそれほど出さずに自然な風合いがお好みの方は、M.モゥブレィ・デリケートクリームか
M.モゥブレィ ナッパケアでケアして下さい。このようにケアに関しては難しいと思われがちですが、
実は割りとシンプルです。

はじめは繊細で汚れやすい素材ですが、上記のケア方法を意識すれば
シミや汚れは付きにくくなります。
しかし、一番重要なことは、「ヌメ革製品につくシミや黒ずみは素材の特性。」と最初から割り切って使用することなのです。

なぜなら、ヌメ革製品の一番の醍醐味は、日焼けや汚れ等を含めて、革の色が飴色や琥珀色に変化する、つまりエイジングの美しさにあるからです。
個人の趣味、嗜好も当然ありますが、ヌメ革の本当の楽しみ方にまだ気付いていない人は
“新品のヌメの白さ”=“美しさ”というイメージが強すぎるために、冒頭のような質問になるのです。

木材にもヌメに似たケースがあります。
それは私たち日本人が好む垢の檜(ひのき)等です。
無垢の木材は汚れが付きやすく、お手入れが大変です。

しかし、その反面で木目の美しさ、ナチュラル感、素材から放たれる心地よい香り等を
楽しむことのできる材質です。
使用しているうちに、ヌメ革同様に変色して、木目や節も温かみや味のある
とても良い風合いがでてくるので、建築関係の業界ではこの無垢の木材の変化、変色を
「経年美化」と呼んでいます。

おそらく造語だと思いますが、“経年劣化”が年月の経過とともに製品の品質・性能が
低下することを意味するのに対して、“経年美化”は年月とともにより美しく変化していくという
前向きな意味でとらえているのです。

革の経年美化を楽しむ・・・
ヌメ革はそういった意味でも、日本人の趣味、嗜好に合った素材の一つと言えます。
是非、皆様もヌメ革製品の醍醐味である革のエイジングを見守りながら「経年美化」という
成長を楽しんで下さい。

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○ヌメ革のお手入れ方法

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