一言にサンダルといっても、つっかけ的ないわゆるサンダルやコンフォートサンダル、
ビーチサンダル等その他さまざまな種類が存在します。
そんな中、ここ数年、巷で人気を博しているトング(鼻緒付き)サンダルについて今回はお話をいたします。
まず、トングサンダルのトングという語源はどこから来ているモノなのでしょうか?
英語でthong…【サンダルなどに用いる革ヒモ】 thongs…【ゴムぞうり(米)】
フランス語ではtong…【下駄の鼻緒のようにつま先ではさむ形になったサンダルのこと】 などと明記されています。
調理具やキッチンで使用する、はさむ道具のことも「トング」< tong >と言いますので、
鼻緒部分を、足の親指(母趾)と第ニ趾で挟み込むことから、発生した単語だと推測できます。
最近では、トングサンダルという言葉が日本でも定着しましたが、一昔前は「ベンハーサンダル」と呼ばれていました。
由来は古代スペクタクル映画「ベンハー」(アメリカ:1960年)で、
映画の中で出演者が履いていた鼻緒付きサンダルからきています。
ちなみに、オードリーヘップバーンが映画の中で、「ミュール」を履いていたことから、
過去にミュールが「ヘップサンダル」と呼ばれていた時期もあります。
その時代の流行やヒットなどで呼び名、通称が変化するというのは、ネーミングのおもしろさですね。
話がそれましたが、トングサンダルといえばなんとなく、日本の下駄や草履をイメージするため、
一見、日本が発祥で元祖という感じがします。
しかし、現存する最古の"履物"といわれているものは、古代エジプトのミイラ棺で見つかった鼻緒付きのサンダルだそうです。
日本では、ご存知の通り、いわゆる西洋式の"靴"を本格的に履くようになったのは、戦後になってからのことで、つい最近です。
それ以前は、当然ですがかなり長期間にわたり、下駄や草履が一般的に履かれていました。
それらは日本人の履物の原点であると同時に、下駄や草履の鼻緒は日本人の足に良い影響を与えていたとも言われています。
東京歯科大学・市川病院の森雅文先生がインターネットで「鼻緒の効用」を掲載しています。
「日本の下駄・草履は鼻緒を母趾と第二趾でしっかり挟みつけ、さらに各趾を底屈させて、
その力で台にしっかり固定させなければうまく歩けない。
鼻緒が緩んでくると、更に力強く趾を底屈させる必要が生じてくる。
このようにして常に拇趾・第二趾の横挟みと、各趾の底屈を行っていれば
拇趾内転筋・骨間筋・趾屈筋などの足の固有筋・外来筋の筋力が増強される。
この事は、足の縦および横のアーチを形成し、保持するために大いに役立つのみならず、
足関節の支持性をも強化するであろう。
日本人に足の障害が少なかった所以であろうと考える。」(抜粋)とされていて、
鼻緒は足に良いということから、靴の中で鼻緒がインソールと一体装着されている健康靴を販売している靴屋さんも存在します。
しかし反面では、近年流行のトングサンダルの一部でヒールが極度に高すぎて、
つま先部分や趾に負担がかかる場合も稀ですがあります。
鼻緒付きといっても、下駄や草履のような特性が消えているものがあるのも事実として認めざるを得ません。
ただ何と言っても、われわれ日本人の感情に昔ながらの郷愁を与える、
鼻緒付きサンダルの存在が消えることは無いと思いますし、
デザイン、機能性等の面でトングサンダルは進化し続けるでしょう。
もしかするとクレオパトラやツタンカーメンも履いていた(?)、
最古の履物であるトングサンダルを、現代人が今も好んで履いているとは、なんとも壮大でロマンティックな話ですね。
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