シューズブラシのお話

 「靴ブラシの毛は腰がある少し硬めのブラシを使用してください。」
 「エ~ッ、柔らかい毛の方が、靴が痛まないと聞いていますが・・・!?」
R&Dでは年間を通して、百貨店靴売場など集客力のある場所の土、日を選んで、
担当営業マンがシューケアプロモーションを行っています。
この会話も某百貨店で靴磨きのレシピを実演中のことです。

「ブラシは使った方が良いのですか?」とか
「どのタイミングで使うのかわからないのでブラシは使ってません。」
など靴ブラシの本当の役割を正しく認識し使用されているお客様はほとんど
いないと言っても過言ではありません。

靴用品情報:シューブラシのお話今回は靴手入れの道具として絶対に無くてはならない、靴の
ブラシについてご説明しましょう。
靴ブラシは靴クリームを塗る柄付きの小ブラシを除けば
大きさや形状はあまり関係ありません。
あるとすれば、使い勝手の良し悪しです。

ところが、毛の柔らかい、硬いは大いに関係があります。
では、どんなときにどのようなブラシを使うのが理想なのでしょうか?
順序を番号で示しますと
1.汚れ(泥、ホコリ等)を払い落とす
 ・・・柔らかい毛 または多数の毛が植毛しているブラシ ⇒ プロホースブラシ等
2.靴クリームを塗る
 ・・・小ブラシ(歯ブラシ型) ⇒ ペネトレィトブラシ等
3.靴クリームを塗った後、クリームを伸ばしたり、なじませたりする
 ・・・かたい毛(強い毛) ⇒ プロホワイトブラシ等
4.仕上げや普段のブラッシング
 ・・・柔らかい毛(弱い毛) ⇒ プロホースブラシ等

冒頭の「毛は少し固めの腰があるブラシを使用してください」
という会話は3.靴クリームを塗った後でブラッシングの実演をしているときの
ことです。

なぜクリームを塗った後は“しっかりした硬めの毛”が良いのかと言いますと、
クリーナーのお話で申し上げた通り、靴のお手入れの最も重要なことの一つは
通気性を保つことです。
小ブラシで塗ったクリームはシワや縫い目の中、コバの隙間などに入った余分な
クリームを他に移動させたり払いおとしたりしなくてはなりません。
当然しっかりした毛のブラシの方が確実に役目を果たしてくれます。
ブラッシングと同時にすばらしい光沢も出てきて本当に靴ブラシが活躍する場面
であると実感できます。

よく革が傷むからブラシを使わないとか、柔らかい毛の方が良いと言う方々も
いますが、剛毛で痛む革は(シープスキンやソフトなヌメのような)特殊なもの
を除けばまずありません。
私たちが実演を通じお客様の大切なブランド靴や多くの革靴をこうして手入れを
してきて自信を持ってお勧めできる結論です。

昔、ヨーロッパでは余分な靴クリームをアルコールでフキ取った後柔らかい毛で
ブラッシングし、絹の布や手で磨いたと言う記述もありますが、アルコールが
剛毛の代わりの仕事をしたことを考えれば理屈は同じですね。

さあ、皆さんも靴ブラシを再認識して上手に使いこなして皮革だけがもつあの
透明感のある美しい肌のツヤを演出してみてください。
「アッ、これが本物なんだ・・・」とますます靴が愛しく大好きになるはずです。
靴磨きもネ・・・!

※プロホワイトブラシの毛は化繊の白毛、プロホースブラシは天然の馬毛を
使用しています。

【プロホワイトブラシ】
【プロホースブラシ】
【ペネトレィトブラシ】

シューズブラシのお話に関連する記事