起毛皮革のお話
カジュアル化した今日のファッションには打ってつけのモノであります。
そんな起毛皮革にはいくつかの呼び名や違いがあり、スエード、ベロア、ヌバックなどがその代表格です。
また、バックスキン(Buck Skin)と呼ばれたりしますが、これは本来、牡鹿の皮の表面をサンドペーパーでバフしたものでBUCK(鹿)とBACK(裏)が間違えて呼ばれるようになったのだろうと言われています。つまり、日本の消費者の方が使うバックスキンは一般的にスエードと言う意味で使っていますが、本当はバックスキンというと鹿革を意味します。
話がそれましたが、ここでスエード、ベロア、ヌバックの違いを簡単に説明しましょう。
まず、スエードとベロアですが、これらは共に牛革などの裏面を起毛したもので、その意味では同じなのですが、あえて区別すれば子牛など皮革の裏面を起毛したものをスエードと呼び、柔らかく繊維も細かいので主にオシャレなパンプスなどの高級靴に多用されています。
これに対し成牛革の裏面を起毛したものはベロアと呼ばれ繊維も太く丈夫ですので、アウトドアシューズやデザートブーツ等ラフな靴に多く使用されています。
一方、ヌバックは牛革の表面(銀面)をサンドペーパーで起毛したもので、同じ起毛皮革でもスエード、ベロアとは正反対のものになります。
つまり、分かりやすく例えるとヌバックは表革(スムースレザー)を傷つけて起毛した皮革であるということです。
ところで、「スエード(起毛皮革の総称)は水に弱いし、汚れると面倒だから嫌いだ。」という
お客様がなんと多いことでしょう。
そんな時私達はこう答えます。
「いいえ、実はスエードは水に強く手入れも簡単なのですよ」と。
例えば、セーターを着ていて、雨に降られた時のことをイメージして下さい。
セーターはあんなにすき間が多いのに、雨に当たってもポロポロと雨の滴をはじき少々の雨では中までしみ込みません。
これは、毛自体が自然の撥水力を備えているのと、毛と毛の間には空気がいっぱい詰まっているので毛が水の侵入を防ぐからです。
スエード靴も防水スプレーや専用スプレーを使用することで、起毛の一本一本に撥水力を与えればセーターと同じ効果が出ますので水にはむしろ強いのです。
また、スエードの汚れについてははどうでしょうか・・・?
汚れが付かないようにするにはブラッシングをマメにすることです。
その日の汚れはその日のうちにこすり落としておくのが最大のコツです。
また、なんといってもお手入れが楽なのはヌバックです。
普段のお手入れはスエードと同じですが、落ちない汚れは固い真ちゅうを使ったワイヤーブラシやサンドゴムでガリガリと擦って下さい。少々、白っぽくなっても構いません。
その後で専用スプレーをシューッ、で完了。
もっとひどい汚れは起毛皮革専用シャンプーで洗って下さい。
さっぱりときれいになり、きっと病みつきになるでしょう。
「こんな手荒な事をして皮革が傷付かないのかな?」という質問もあります。
ご心配には及びません。
ヌバックはスエードなどの裏革よりはるかに丈夫な表革を、毛羽立つ程サンドペーパーで擦って作られた革なので、とてもきれいに見えますが元々傷だらけなのです。
お手入れが簡単で水にも強い起毛皮革。
お手持ちの靴コレクションに加えてみてはいかがでしょうか。
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